《素早く正確な情報社会の謎って?》 より・・・

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     切羽詰まってバンドマン!

       ----第134号----

  《素早く正確な情報社会の謎って?》 



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40年ほど前の話。



プロのバンドマンとして顔を売っとけば曲がり形(なり)にも食いっぱぐれは無い。



但し、イイ顔を売っとかないと、いつまで経っても仕事は回って来ない。



『彼は、若いのに初見が利くんだってよ!しかも、バッチリって聞いたなー』



『譜面に滅法強い若いテナーが居るらしいよ!書いてありゃ何でも読むって云うのが口癖らしいよ!』




この、「譜面に強い」と「若い」が重なれば、先ずバンド業界が放おっては置かない。



黙っていても、三日に一度はヘッドハンター氏からの電話が鳴る。



しかし、コチラとしても現在の職場に慣れたばかりで、これからジックリと腰を落ち着けて音楽的貢献をして行きたい、 とか・・・色々とある訳ですよ、色々と。



現在所属するバンドのリーダーだって優しい人だし、メンバー達もみんな話し易くて居心地は悪くないとか、ねっ!



その上、入団早々バンス(バンマスから前借りする事)も心良くOK してくれたし、若いと謂えども、一宿一飯の恩義を感じない訳にはいかない。




受話器の向こう側から『今、幾ら貰ってるのぉ?』で始まる「パリヒの口説き文句」



最初、これには驚いた。




(いきなり人の給料を聞いて来るなんて・・・なんという下品な人種なんだ・・・)




だって・・・例えばですよ、一般社会で、初めて電話した人に向かって、現在の手取り月給が幾らなのか質問して来る事なんて有りっこ無いでしょう?




しかし、バンド業界ではこれが普通のやり方、言ってみれば常識の範囲内の出来事なのである。



と申しますか・・・



東京弁の匂いが漂う『今、幾ら貰ってるのぉ?』だったら、まだ可愛げがあって良いと思う。




残念ながら、俺の就職口は関西地方なので東京弁の匂いなど微塵(みじん)も漂わない。




『今、ナンボ貰(もぅ/もろ)てんのん?』或いは、『今、ナンボでやってんの?』



なんだか知らんが、こう明け透けに金銭の話をされると(そうか、俺は買われてるんだ!)と実感する。



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不思議な事に、この「俺は買われてる感」が何とも心地良いのだから人間の心理とは解からんものだ。




もし、俺が売春婦だったら大成功を・・・て、無理な持って行き方は止めよう。




さて。



音楽性を中心とした自分自身の評価が直ぐさま現金化していくのは、かなりの快感なのだ。



と言うのも、今津雅仁の音楽的評価額が「上がり続けるだけの」場面に出会えるからである。




それも、頼みもしないアカの他人がわざわざ電話をかけて来てくれて、今津バブルを大々的に演出してくれるんだもん!



そりゃービックン!ビックン!感じまくりますよねぇー だって嬉しいもん!





『今、ナンボでやってるの?』



『はぁ、8万5,000円ですが・・・』



『え、ええー!安いなぁー(やっ!すぃなぁー!)』

これも決まり文句ね(笑)



時には『ええー!安いなぁー(やっ!すぃなぁー!)嘘やろぉー?ホンマかいなぁー?いったいどっちやねん?』ってな変わったお方も・・(笑)




『そうでしょうか?』



『そらそやがなー!ちょっと聞いたんやけど、君ぃー譜面バッチリらしいねんて?ホンマの話なん?』



『はぁ・・・譜面ですか?取り敢えず、ちゃんと音符が書いてあれば全部読めますが・・・』




このセリフは、映画「五つの銅貨/ファイブ・ペニイズ」でダニー・ケイ扮する主人公、ジャズ・コルネット奏者のレッド・ニコルズが田舎から大都会に出て来て有名バンドのテストを受けている時に『譜面は大丈夫か?』と聞かれて、『書いてありゃ何だって読めるよ!』ってな生意気な口をきくシーンが有ってね・・・




俺はこの世間知らずで物怖じしないこの田舎者が、大都会のバンドリーダー相手にズバッと言い切るシーンが大好きなんだ!




だから十代の頃、譜面のことを聞かれたら直ぐに『ハハ・・・音符さえ書いてあれば読むのは雑作ないですよ!』って・・・微かな「ツッパリ」だとは思うけどね。




でも・・・




ジャズ好きのバンドリーダーだと、即!『おっ!レッド・ニコルズやな?こりゃ、高い買い物やなぁー』とか言って、盛り上がってくれるので、相手の音楽センスの良し悪しを見分ける手掛かりにもなったんだよ。




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『今でどれくらいになるの?』て・・・これも解り難い質問でしょ?



東京弁で言う所の『今のバンドに入ってどれぐらい経ちましたか?』って意味。



関西弁て、凄~~~く省略しますよねぇ、それも、かな~~~り、手前勝手に・・・




『三ヶ月目に入りました(妊娠したみたいやがな・・・)』




『ああ、そう・・・それやったら、もぅ、いつ辞めてもどっからも文句は出んわなぁー』




『い、いや、それはちょっと・・・(勝手にルール作るもんなぁ・・)』





『なんでや?一ヶ月や二ヶ月で辞めたりしたら迷惑が掛かるけどやなぁー、もぅ、三ヶ月やろ?辞める時は一ヶ月前に言わんとアカンから・・・でも、これで何時バンマスに辞めますっちゅうても問題ないがな!そやろ?そー思わんか?活きのエエ若いテナーをやでぇ、たったオクターブ・ゲーの端金で、三月(みつき)も、こき使い倒したんやから、なぁー!そやろー?』




『こ、こき使うなんて・・・全然ないですよぉー(言いたい放題やし・・フーー)』





『なに言うてんねんなぁー、聞いてるでぇ、ビッグショーが月に二回も入るのに、その分ギャラ上乗せとか、してくれへんらしいがな、ちゃうんかぁ?』



『まぁ、それは、ま、ぁ・・・(え?そぅなん?他の店はビッグショーの時には別ギャラが発生したりするのぅ?)』



『なんや、ボソボソと、ハッキリ言うたらんかいな!ピン撥ねも大概にしとかなアカンでぇー!っちゅうて、なぁ!』




『そ、そんなぁー』




他所のバンドの未公開情報なのに、俺たちメンバーより知ってるて・・・なんでしょうかね。




それも夜の夜中に大きな声で、やれ「こき使ぅた」やれ「ピン撥ねがどうの」て、まったく。




でも、反対にオタクさんのバンドなら相当ギャラを彈んで戴けるんでしょーなぁー?って期待感も溢れてきますわなぁー




だってぇ、月給の8万5千円を、たったとか、端金とか、言うてたし、あっそうそう最初は(やっ!すぃなぁー!)とか怒鳴ってたし・・・待遇そのものだって今より随分と良くなりそうな雰囲気がバンバン漂って来るやん!





うれピーなぁー!キャハッ! ☆⌒('艸`*◆)




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『まぁ、イイですけど・・・あのぅーですねぇ・・・もし、僕がそちらのバンドにお世話になるとしましたら、
ギャラは幾らぐらい戴けるのでしょうか?』



とかって・・・聞いたこと無いなぁ・・・俺・・・マジで。






振り返ってみても、一度だって自分の方からギャラの交渉や手取りの金額の話を出した事が無いわ・・・見事にね。




相手(バンドリーダー、バンマス)の言い値でしか決めて来なかった、んだけど、金額的な不満など一切なかったな。




そりゃそーだろー!



好きなこと
しかやってないんだから、なぁ!







後略...






         

              

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《切羽詰まってバンドマン!》






ペーソスに満ちた物語をユニークなタッチで描いて行った【実録小説/哀愁編】が無事終了。





現在は「日本ジャズ界の知られざるタブーに挑む!」という、未だかつて誰も書けなかった「新分野」に挑戦中!






※愛読者コメントより・・・


『心の底から笑える私の人生にとって何よりも貴重な日。


それは・・・


《切羽詰まってバンドマン!》の発刊日です!!』 





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# by funky-ts-kr | 2013-05-31 20:59 | 切羽詰まってバンドマン! | Trackback | Comments(0)