Jazz 日記 in 高見延彦列伝「八代亜紀との想い出より..」7
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■■■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□■■■ 切羽詰まってバンドマン!
----第119号----
《八代亜紀との想い出》
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八代亜紀との演奏ツアーも慣れてくると同時に楽しみの方が多くなってきた。
本当に「心」から《八代亜紀ショー》を楽しんでいた。
でも...
ツアーにアクシデントは付きもの。
いつ、何が起こるか解ったもんじゃない。
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あれは、九州ツアーの時だったと思う。
夏の真っ盛り。
日中の気温もその夏のピークに達していた。
俺たちバンド一行は先に会場入りして各自トレーニング。
田舎町ではよくあることだが、この時の会場は中学校の体育館。
音響や照明が使う莫大な電力を学校全体のありとあらゆる所から引っ張って来ていた。
勿論、そんなことは八代さんも俺たちバンドも、そして漫才のセントルイスも知ったっこちゃない。
※ 《八代亜紀ショーには当時、漫才コンビのセントルイスが同行していた》
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いつも通りにファンファーレと共に幕が上がる。
一曲目から快調に歌を披露する八代亜紀。
(なんか、冷房の効きがもひとつやなぁ・・・)
隣の高見さんが俺の顔色を見て取ったのか。
『今津くん、今日は暑いね。こんな日もあるけど我慢して頑張りましょうね!』
『えっ?あ、はい!』
高見さんという人は時々、人の心を見透かすような事をサラリと言ってのける。
まったく、油断も隙もない。
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ショーが中盤に差し掛かった時。
急にバンドのサウンドに異変が起こった。
と同時に会場全体が真っ暗闇に。
(ん?な、なに?)
数秒後、体育館の電気が点灯した。
それまでの仮設照明が演出する豪華さは無くなり...
蛍光灯独特の間抜けな色だけがステージ...
いや会場全体を照らした。
完全に電源が落ちてしまったのだ!
八代さんはマイクで一生懸命に何か喋っていたが...
もちろん誰の耳にも聞こえない。
困った顔をこちらへ向ける八代さん...
泣き出しそうな表情に「どうしよう?」と読み取れた...その瞬間!!!
ピアノの与那城さんが何かを弾きだした。
すると、隣に座っていた高見さんがスクっと立ち上がり、ボサノバの名曲「コルコバード」のメロディを吹き出した。
そう!
与那城さんの弾いていたのは「コルコバード」のイントロだったんだ。
軽やかにテナーを吹きながら、高見さんは舞台のド真ん中まで歩いて行く!!!
そして、舞台狭しと踊りながらテナーを吹きまくる!!!
さっきまでの《八代亜紀ショー》が、瞬く間に《高見延彦ショー》に様変わりしてしまったのだ!!!
(え?なになに...これって、どーなってるの?)
ポッカーーーーンとした瞬間!
俺は叫んでいた!!!
『うわー格好エエー!』
思わず口から出た言葉はそれだけ。
電気を使えないベースが鳴らないのに気が付いた俺はベーストーンを吹き始めた。
それに呼応するかのようにサックス・セクションはハーモニーを付ける。
いつも主役の八代さんが立っている位置でサックスを吹いていた高見さんが俺たちの方を振り向き。
ニコッ!!!
俺は...マウスピースを咥えながら... (格好エエ!!!)
いつのまにか...
「アコースティック・ジャズ・バンドの大演奏会」が始まっていた。
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そして...
「コルコバード」が終わった瞬間。
ピアノの与那城さんが弾きだしたイントロは。
なんと・・・
カウント・ベイシーの「ワン・オクロック・ジャンプ」だった!
つづく
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